インプラント研修会(大阪ジャシド)のお手伝いに行ってまいりました。

2022年08月07日

7月2日,3日は診療所を休診させて頂き、

(社)日本口腔インプラント学会JSOI認定JACID講習会

静岡県浜松市におけるインプラント外科に関する講義と実習

静岡県磐田市における施設長堀内克啓先生によるライブオペセミナー

のお手伝いに行ってまいりました。

夏の恒例行事と言いいますか、毎年実行委員として参加させてもらい,基本的なインプラント外科の考え方、日々進化する歯科医学の知見のインプットや技術の研修を行なっております。

 

7月2日(土)はインプラント外科に関する講義、及び実習(豚の上顎骨を用いて)を行いました。

 

7月3日(日)は、静岡県磐田市の牧野歯科医院内に移動し、実際の手術の見学を行いました。

手術の内容としては以下の3ケースが執り行われました。

 

①下顎オトガイ孔に近接した不良インプラントの撤去

→オトガイ部の神経走行部とその周囲の減張切開→GBR(骨造成)と同時のインプラント埋入
②前歯部における垂直水平GBR(骨造成)と同時のインプラント埋入

→臼歯部サイナスリフト(上顎洞底挙上術)も
③抜歯直後、口蓋側有茎弁形成→サイナスリフト歯槽部GBR同時埋入

 

 

と難症例ばかりでした。

 

講義と実習を通じて講師の先生が仰るのは

どのようなオペも成功は“外科の基本”の集積である

ということです。

また、毎年、講義後の懇親会を通じて全国のドクターとの交流,意見交換を行いますが、自分にとっては本当に有益な時間であり,自身の臨床技術の向上に役立っております。

今後も講義,実習を通じて知識と技術を再確認し、患者の皆様にアップデートした最新の知見,治療法をご提供したいと考えます。

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当院での治療例の紹介 ③歯牙の移植

2022年07月03日

当院では、歯を失った方に対する治療法として、

入れ歯やブリッジ、インプラント

という従来の方法以外に、親不知などのドナーとなる歯がある場合、その歯を他の部位に移植する、

『歯の移植』をまず第一選択として推奨しております。

 

歯の移植』は以前より保険診療として認められており、以下のようなメリット、デメリットがあります。

歯の移植/自家歯牙移植;trans-plantation of tooth =ご自分の歯を抜歯して、他の部分に移し替える手術

(利点として)

歯根膜(歯の周りのクッション)が残っているため、ご自身の歯で噛む感覚が残る。

移植した歯牙の周囲に骨などの正常な組織が誘導される。

→歯根が未完成の場合、歯髄が再生、歯根の伸長が見られることがある。

治療費が安価である=3割負担で7000円程度の負担

 

(欠点として)

麻酔や、外科的な処置が必要。

年齢、ドナーとなる歯の形態により長期予後が低くなる可能性がある。(おおむね30代くらいまでが適応と言われています)

将来的にう蝕、歯根破折、歯周炎になる可能性がある。

糖尿病等の全身疾患をお持ちの方、喫煙者の方には不向きである。

前歯から前歯、小臼歯から小臼歯への移植は、保険が効かない。

 

高血圧や糖尿病などの基礎疾患があったり、高齢の方には向かないというデータもありますが、移植が成功した場合は、歯根膜が残るため、自身の歯で噛む感覚があり、非常に自然な歯並びを作り出せます。

(当院では開業以来、約60名の方に施術し、概ね安定しております。)

 

 

 

以下に実例を示します。

治療例❷  ♯歯牙移植  を用いて歯の保存に努め、臼歯部の咬合支持を確保、その後の欠損の拡大の防止に寄与できたと考えられる一例

初診時(2017年10月)右下の一番後ろの奥歯は周囲の骨が炎症により吸収し、保存は不可能と判断しました。

2017年10月

右上の親知らずは右下と噛んでおらず、抜歯しても噛み合わせに差し支えはなく、かつ真っ直ぐ単純な根の形をしているため、移植に適していると判断しました。

上記のように、CT撮影を行い、移植予定の部位の大きさに対し、

移植する歯牙の大きさが適合するかシミュレーションを行ったのち、移植を行いました。

 

2019年1月(術後1年3ヶ月)

2020年9月(術後2年と11ヶ月)

2022年1月(術後4年と3ヶ月)

 

2022年1月現在、術後4年と3ヶ月程度経過していますが、歯ぐきの炎症や揺れなどは見られず、食事も普通に出来ている、とのことで、治療に対しご満足いただけているようです。

 

歯牙の移植は保険診療内での最良の治療と私は考えます。

移植にご興味ある方はどうぞお気軽にご相談下さい。

 

 

 

当院での治療例の紹介 ②マグネット義歯(磁性アタッチメント)

2022年03月06日

2021年9月より、磁性アタッチメント(マグネット義歯)の保険請求が認可されましたが、

それ以降、電話やメールでの問い合わせを多数頂いております。(関西地区以外からの問い合わせもあり、皆様の入れ歯治療への関心の高さを表していると実感しております)

 

当院の治療に関する基本的な方針としましては、『保険診療で行い得ることは全て行う。』ということです。

マグネット義歯に限らず、以下のものに関しても積極的に治療を行なっています。

 

⚫︎軟性裏装義歯

これはシリコン性の義歯デンチャーですが、義歯を作製してから6ヶ月経過していること、下顎の義歯のみ適応される、などの制限があります。下顎の骨が吸収してしまった方には、食事時の痛みの緩和に寄与する素材と考えます。

⚫︎歯牙の移植

親知らずを上下左右の大臼歯部に移し替えることで、噛み合わせの回復を行います。

当院では歯のない部位に対する治療方法として、入れ歯やブリッジの次の選択肢として『歯牙の移植』を強く推奨しております。自分の歯のですので、噛む感覚が残る、というメリットがあります。

⚫︎歯周組織再生治療剤 (リグロス®︎科研製薬)

これは2016年から保険収載された新しいお薬で、血管を新しく使ったり、骨や軟骨を誘導するシグナルを歯周組織内に起こす作用を持った、FGFー2(線維芽細胞増殖因子)を応用した薬剤です。

当院では3〜4年前より使用しておりますが、その効果は著しいもので、歯槽骨の再生が起こり、歯の揺れが止まり、歯周組織が健全になる、という効果があります。

歯周病で悩んでおられる方にとっては大きな福音となる、と確信しております。(詳細は後日、症例のご紹介、ということでご提示したいと思います)

⚫︎高強度硬質レジンブリッジ

小臼歯(5番目の歯)欠損に限られますが、金属を用いずに、審美的なブリッジが作製可能です。ただし、後方の歯が残っていることが前提条件としてあります。

⚫︎CT撮影、マイクロスコープを用いた根管治療(根管充填、歯根端切除)

基本的に保険診療、自費診療に関わらず全てマイクロスコープを用いて根管治療を行なっています。

ラバーダム、マイクロスコープを用いた根管治療は、現代の歯科医療においてはスタンダートな治療と私は考えております。

 

さて、マグネット義歯ですが、当院では積極的に患者の皆様に治療を提供しております。
その最大の利点は、

従来の止め金を用いず、磁石の引き合う力を利用して、入れ歯を保持できる

入れ歯によってご自身の歯が揺らされない(痛めない)

金属が見えず、見た目が良い

ということです。

 

 

 

 

 

以下は当院で実際に治療を行った患者様のケースです。

 

⚫︎「下の部分入れ歯を作るのに、マグネット義歯で作製してほしい」とのことで来院されました。

○型をとって、模型上でキーパーと言われる金属製の土台を作ります。

○下の両方の奥歯にマグネット義歯のキーパーをセットした状態です。

 

○入れ歯側にマグネットをセットした状態です。止め金が見えないので、患者様は大変満足されたご様子でした。

 

自身の歯に装着したキーパーと入れ歯側の磁性アタッチメントが磁力で引き合うため、外れずに安定しております。(強く引っ張ると簡単に外れますが、食事をしていて外れることはありません。)

 

 

 

以上のように、当院では

磁性アタッチメントを積極的に(日常的に)保険治療の1オプションとしてご提供しておりますので、

治療をご希望の方、質問などある方はどうぞご気軽にお問い合わせください。

自費診療の価格改定、及び新規設備導入のお知らせ

2022年02月07日

当院は開業当初より、保険診療を主体として診療を行ってまいりましたが、お口全体の包括的な治療を行う過程での

矯正治療、セラミックス冠、インプラント治療、インプラント治療前の骨造成術など

は、自費治療費ということで、治療代を頂いておりました。

 

ただ、昨今の社会全体の物価上昇、原材料費の高騰、賃金の上昇などの社会的背景を考えますと、自費診療価格の値上げを行わざるを得ない状況となりました。

2月までは現行の価格、3月からは5〜10%の価格の引き上げを予定しております。

患者の皆様におかれましては、何卒ご理解ご協力を賜りますよう、よろしくお願い致します。

 

 

なお、当院では今後デジタル機器を導入し、院内に技工部門を設立、技工物を院内で作製していく予定です(院内技工士を配置予定)。

 

歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士、歯科助手が協力し、チームとして患者様一人一人のご要望に的確に、迅速に応えられるよう努力を続ける所存ですので、よろしくお願いいたします。

 

 

今後、導入する予定の機器、PCソフトとしては、以下のようなものを予定しております。

①3Dプリンター【Form3b】

レジンと呼ばれる樹脂を積み上げて立体的な造形を行うことが出来る先進的な機器です。

人工歯、入れ歯の基礎の部分、インプラント手術時に必要な、サージカルガイドの作製が院内で可能となります。

 

 

②ミリングマシン【Roland社製:DWX -52D】

CADブロックを削り出すことにより、保険適用のCAD冠、ジルコニアクラウンを作ります。

従来であれば技工士さんが手作りで作っていた被せ物を短時間で、正確に作ることができます。

例えば午前中来院して、昼過ぎには被せが入る、そういったOne -Day  treatment(1日で型取りから被せ物の装着まで完了する治療) も可能となります。

 

 

③ポーセレンファーネス 【サンデンタル社:デュオトロン】

セラミックス冠を焼く釜です。ミリングマシンで削り出した半焼結ジルコニアを焼いて仕上げます。

 

 

 

 

④CADCAMソフト【EXOCAD】

オーラルスキャナー又は卓上スキャナーから取り込んだデジタルデータをCADソフト上で編集、被せ物や入れ歯を設計する。

 

 

 

⑤卓上3Dスキャナー【アイデンティカT300】

模型をスキャンして読み込み、3Dデータを編集します。

 

 

⑥矯正分析ソフト【ラオンセフ】

矯正治療前に撮影した横顔のレントゲンを、最新のAIソフトにより骨格を分析し、治療の予想を行います。

 

 

『高付加価値な治療、最先端で安全確実な治療を地域の治療を皆様へ提供する』を信条として、今後とも歯科医療に全力で取り組んでまいります。

新年明けましておめでとうございます。

2022年01月09日

新年明けましておめでとうございます。

本年もどうぞよろしくお願い致します。

旧年中、お世話になりました各方面の業者様には改めて御礼申し上げます。また、当院に通院して頂いている患者様には(長い治療期間にも関わらず)治療方針に対してご理解頂き、感謝しかありません。

 

さて、本年も医院の基本方針である、

歯科医療を通じて地域社会に貢献

の理念の下、さらなる治療技術及び学術の向上、患者様へのサービス向上を図りたいと考えております。

 

昨年は口腔内スキャナーを導入し、歯科技工所と連携してデジタル印象(スキャナーを用いた型取り)システムを院内に構築しました。

今年はさらにそこから進み、院内で被せ物や入れ歯などの技工物を製作するシステム(ミリングマシンを用いたCADクラウンの削り出し、3Dプリンターによる仮歯、入れ歯の造形)を院内に構築する予定です。

デジタルトランスフォーメーションのコンセプトの下、被せ物や入れ歯などの技工物をより早く、正確に患者様に提供できるように努めて参ります。

 

 

話は変わりますが、昨年一年を通じて放映されていた、

大河ドラマ『晴天を衝け』

を私は毎週楽しみに視聴しておりました。

近代日本の商工業の礎を築いた渋沢栄一の考え方、行動力は素晴らしく、自分一人の為ではなく社会全体のために働く姿は、胸を打つものがありました。

その中で、主人公である渋沢栄一や、他の登場人物である徳川慶喜等が話す言葉に幾度となく共感、共鳴いたしました。

作中、徳川慶喜の弟、徳川昭武をリーダーとした使節団をパリへ向けて送り出す際に、以下の「徳川家康の遺訓」が徳川慶喜と渋沢栄一のやり取りを通じて語られます。

人の一生は重荷を負うて遠き道を行くがごとし。急ぐべからず。
不自由を常と思えば不足なし。こころに望みおこらば困窮したる時を思い出すべし。
堪忍は無事長久の基、いかりは敵と思え。
勝つ事ばかり知りて、負くること知らざれば害その身にいたる。

おのれを責めて人をせむるな。
及ばざるは過ぎたるよりまされり。

この意味は、おおよそ次のようなものです。

人の一生というものは、重い荷を背負って遠い道を行くようなものだ。急いではいけない。
不自由が当たり前と考えれば、不満は生じない。
心に欲が起きたときには、苦しかった時を思い出すことだ。
がまんすることが無事に長く安らかでいられる基礎で、「怒り」は敵と思いなさい。
勝つことばかり知って、負けを知らないことは危険である。
自分の行動について反省し、人の責任を攻めてはいけない。
足りないほうが、やり過ぎてしまっているよりは優れている。

この言葉がものすごく心に残りました。

今の自分の考え方(経営方針、治療方針)が、少し自分本意になっていないか、周りの環境のせいにしてしまっていないか、今一度見直し、医院の運営、患者様への接し方、治療方針をより丁寧に我慢強く考えていこう、そう思いました。

 

『毎日の診療、行動が本当に患者様のためになっているか』を自問自答し、地域医療に貢献することを誓い、新年のご挨拶に替えさせて頂きます。

 

 

 

 

以下は、元日に四国香川県琴平町の、金比羅神社に初詣をした時の写真です。

象頭山の中腹421メートルにある厳魂神社(奥社)まで片道30分かけて登り、お参りをしてきました。

奥社までの道のりは遠く、ちょっとした登山の様相を呈しておりました。奥社までついた時、なんとも言えない清々しい気持ちになりました。そのあと、お参りをし、下山しました。

本年も皆様にとって良いお年でありますように、心よりお祈り申し上げます。

旭社

 讃岐富士(飯野山)奥社;厳魂神社(標高421メートル)

年末年始の休診に関するお知らせ

2021年12月29日

本年も、患者様をはじめ、各方面の業者様には大変お世話になりました。

この場をお借りして厚く御礼申し上げます。

 

当院は年末年始の休診日を

12月29日水曜日〜1月4日火曜日

とさせて頂きます。

来年もどうぞよろしくお願い致します。

当院スタッフが、兵庫県保険医協会 歯科助手講習会に参加しました。

2021年11月27日

さる11月14日(日)に兵庫県保険医協会主催の歯科助手講習会が開催され、当院から2名の方に参加して頂きました。

以下は参加した後の感想文です。

 

「初級歯科助手講座に参加して」
今回の講習では、〝歯科基礎知識〟〝接遇研修〟〝歯科外来における院内感染対策の基礎知識〟について学ばせて頂きました。
まず、〝歯科基礎知識〟の講習を受けました。
う蝕の要因や予防法、院内でのう蝕治療の術式や必要器具について教本の写真や図、グラフを使いながら理解することができました。また、具体的に酸性度の高い飲み物や糖分の多い飲み物など患者さんにう蝕について説明する際に必要な知識も得ることができました。
そのほか、レントゲン、麻酔、AEDや投薬についてや歯周疾患についても基本的なことを学ばせて頂きました。
次に〝接遇研修〟の講習を受けました。
講師の先生からお話を聞き、患者さんに思いやりの気持ちを持ち、どのような言葉を望んでおられるのか今以上に考え、患者さんに寄り添えるよう心がけたいと思いました。そして、患者さんへの笑顔を忘れず、安心感を持って頂けるようになりたいと思いました。
最後に〝歯科外来における院内感染対策の基礎知識〟の講習を受けました。
近年新型コロナで感染防止策が重要となっていますが、状況になれることで感染予防が疎かになることがないよう、正しく感染経路を知り、正しい感染対策を身につけなければならないとあらためて感じました。
この講習で得たことを実際に医院の臨床の場でも生かすことができるよう日々努力していきたいです。

 

歯科助手研修の感想文

*研修内容*
歯科基礎知識
患者接遇とコミュニケーション
歯初診施設基準対応
歯科外来における院内感染対策

※研修で感じた事、今後実践すること*
働く上で大切な歯の構造、歯科用語、歯式の書き方、器具の名前などを詳しく教えていただきました。
治療をアシストする側も、このようなことを理解した上で働くことにより、患者さんの不安に寄り添えるということを研修を通して気付くことが出来ました。

新型コロナウイルスが流行し約二年程経ちますが、院内感染対策にも更に力を入れていることも学び、一方で歯科医院ではクラスター件数が一件だけと講師の方が仰っており、歯科医院での日頃の感染対策が功を奏した結果なのだろうと思いました。
引き続き、自分自身も気を引き締め感染対策をしようと思いました。

そして、接遇研修で学んだ”えごえ”という声の出し方を実践し、電話や受付対応などに役立て患者さんに安心していただけるように今後も努めてまいります。

 

当院では新しく就職された方に、必ず保険医協会の講習会に参加して頂いております。

『最低限の歯科治療の知識、感染防止の概念』を身につけてもらうため、また患者さまへの接遇、おもてなしの意識をもってもらうためにも大切な事と考えております。

今後も様々な研修、勉強会を通じ、より良い医療サービスがご提供できるように、医院全体で取り組んでいきたいと考えております。

マグネット式入れ歯(磁性アタッチメント)が保険適用になりました。

2021年10月30日

2021年9月1日から、入れ歯の内面に磁性アタッチメントを装着する(マグネット式入れ歯)ことが、保険診療において使用可能となりました。

 

 

磁性アタッチメント(マグネット式入れ歯)とは、下図のような構造の入れ歯です。

入れ歯の内面に磁性アタッチメントを、

ご自分の歯にアタッチメントを装着し、磁石の吸着力により入れ歯を保持するしくみです。

これにより、上の入れ歯が落ちたり、下の入れ歯が浮き上がるといったことがなくなり、よし安定した入れ歯が可能となります。

また、従来は隣の歯に金属製のバネをかけて入れ歯を維持していましたが、それがなくなり、

 

ご自分の歯に負担がかからない

金属が見えない為、審美的になる

 

と言ったメリットがあります。

当院でも保険診療での治療を開始しましたので、ご興味のある方はどうぞお気軽にお問い合わせ下さい。

 

 

 

注意)人間ドック等でMRI検査(磁力の発生により体内の軟組織を観察する検査)を受ける際は、入れ歯を外して受診してください。入れ歯に磁石がついている為、MRI検査時の画像に悪影響を及ぼします。また、万が一装着したままMRI検査を受けられますと、磁力の吸着力の低下を招きます。

当院におけるイントラオーラルスキャナー(IOS)の活用事例

2021年09月13日

当院では6月より、歯科医療のデジタルトランスフォーメーション、非接触(感染リスクの低減)の観点より、韓国MEDIT 社(https://www.medit.com/?lang=ja)のイントラオーラルスキャナー;IOSを導入しました。

 

 

イントラオーラルスキャナーは、光線を利用してあたかもコピー機のように歯形を取る医療機器で、従来のゴムのような材料が不要で早く、快適な診療ができるメリットがあります。

 

今通院しておられる患者様に、実際に使用し始めておりますが、コンパクトでかつ操作性が良いため、

患者の皆様からは一様に、

型取りの気持ち悪さが無く快適だ。

型をとっている気がしない。何をしているかわからないくらいです。

というお声を頂いております。

 

 

現在のところ、当院では下記のようなケースに応用しております。

❶長期間使用する、硬質の仮歯(プロビジョナルレストレーション)

技工所にてCADCAMソフト上でデータを開き、設計する。

仮歯(provisional restration)をセットした。

 

 

 

②ジルコニアセラミックスの設計への応用

下記は、前歯のセラミックスを一度装着した方ですが、「少し長い気がする」とのことでやりかえを希望されました。

今装着しているセラミックスと口唇、鼻との位置関係をスキャナーで取り込みます。このデータ;立体像は、技工士さん側もアプリ上で見ることができます。

歯と軟組織の関係性を参考に、修正したのが下記のセラミックスです。

実際に患者様のお口に装着した時の様子です。自然な仕上がりに患者様も満足されています。

従来の二次元の写真と、口頭で技工士さんに伝えるだけはなく、同じ画面(アプリ)で立体像を見ながら、リモートで技工士さんと議論し、細かなディティールを修正することが可能になりました。

 

 

③インプラントの上部構造(セラミックス)

インプラントの上部構造制作のためには従来はシリコン製の材料を用い、お口の中で5分程度硬化するのを待たねばなりませんでしたが、その必要はなくなりました。

スキャンボディを装着してそれをスキャンすると、インプラントの位置関係がPC上に現れます。

デジタル情報のみでは、ブリッジなどの長い構造のものでは並行性に誤差が生じる為、ベリフィケーションジグ(並行性の検証用のジグ)を、お口の中で固定します。

 

最終的にセラミックスが装着された状態です。自然な仕上がりです。

 

 

 

④矯正装置の作製

下記は、歯形を取らずにスキャンのみ行い、3Dプリンターで作成したレジン樹脂の模型上で仕上げた矯正装置;緩徐拡大装置です。適合性に問題はありません。

 

 

⑤オルソシュミレーション(Ortho-simulation)というアプリケーションを用いての矯正治療のシュミレーション

下記は、抜歯したスペースにインプラントを入れた後に矯正した場合に、上下の歯がちゃんと並ぶか、噛み合うのかをおおまかにシュミレーションしたものです

大まかではありますが治療の成功の可否が分かり、患者様にも治療のゴールを提示できます。

 

 

上記のようなケースに応用しております。

 

 

 

従来の型取りがないために快適性が向上し、治療時間が短くなるというメリットがあるのはもちろんですが、

デジタル技術によるシュミレーションは、矯正治療後のゴールを患者様と共有することが出来ます。

また、お口の虫歯を立体像で患者様に提示(informed)することで、より実感を伴った病態の把握(consent)が可能になろうかと考えられます。

かつ、非接触であることから、感染リスクが低減されると考えられます。

他にも様々な機能があり、スキャンするだけに留まらない、様々な可能性を、このオーラルスキャナーは広げてくれそうです。

 

今後も、デジタル機器および各種アプリケーションにさらに習熟し、皆様のお口の健康、利益につながるよう努力して参ります。

開業4周年を迎えて。今後の医院としての目標

2021年09月09日

お陰様で8月21日をもちまして当院は開業して4周年を迎えました。

この4年間お越しいただきました患者様には、改めて感謝申し上げます。また技工所様、歯科材料業社様、その他各方面の会社には大変お世話になりました。特に行政の皆様からは政府のコロナ対策の一環で、一方ならぬご支援頂きましたこと、この場を借りて、改めて厚く御礼申し上げたいと思います。

 

さて当院では開業以来、

一般歯科治療、小児歯科、矯正歯科、歯科口腔外科、訪問診療などを通じて地域社会に貢献してまいりました。

開業5年目に入るにあたり、社会に対して一歯科診療所として何ができるかを、より具体的に考える時期に来ていると思います。

 

今、社会全体で提唱されている、

SDGs ;sustainable development goals;持続可能な開発目標

をテーマに少し考えてみようと思います。

これは、2015年9月に国連で採択された、

持続可能な開発のための2030アジェンダ(実行するべき目標)

に記載された、

2016年から2030年までに持続可能でより良い世界を目指す国際目標です。

具体的には以下の17の目標があります。

 

     ~17の国際目標~

❶貧困を無くそう

❷飢餓をゼロに

❸全ての人に健康と福祉を

❹質の高い教育をみんなに

❺ジェンダー平等を実現しよう

❻安全な水とトイレを世界中に

❼エネルギーをみんなに、そしてクリーンに

❽働きがいも経済成長も

❾産業と技術革新の基盤を作ろう

➓人や国の不平等を無くそう

11)住み続けられるまちづくりを

12)つくる責任、つかう責任

13)気候変動に具体的な対策を

14)海の豊かさも守ろう

15)陸の豊かさも守ろう

16)平和と公正を全ての人に

17)パートナーシップで目標を達成しよう

 

上記は、私たちが発展していく為に目指すべき目標であり、

❶〜❻は『人の安全、安心』

❼〜12)は『経済のバランス』

13)〜17)は『環境、平和』

の3種類に分けて定義されています。

 

みんなが幸せになる未来を創るために 

誰一人取り残さないーNo one will be left behindー

を理念とし、国連に加盟する世界193ヵ国が合意した2030年までに達成すべき目標、という大きな考え方です。

 

それでは現実社会においてはどうかというと、

環境省から発表された

『すべての企業が持続的に発展するために』

と題された『SDGs活用ガイド』というものがあります。

環境活動や社会課題の解決を通じて業績を上げる、これらに配慮しなければ企業としての活動ができない、そういった時代が来ようとしています

といった前書きが記載されており、日本においても実際に自治体や各団体、企業、学校などを中心としてSDGsの目標に資する取り組みを行うところも増えてきています。

身近なところで言えば、スーパーのレジ袋の有料化、プラスチック製のストローの全廃が挙げられますが、これは上記の項目

14)海の豊かさを守ろう、に該当します。

 

 

 

では、

『一歯科医院においてSDGsの達成に向けてどんな取り組みができるのか?』

について考えたいと思います。

例えば、

❸すべての人に健康と福祉をを達成するために、

「事情により通院困難な方の為に訪問診療を行う」
「奥歯の無い方に対して、いち早く治療し咀嚼機能の回復を行う」

「治療終了後も疾患の発生を予防すべく定期的なメンテナンスを推奨する」

ことにより達成できると考えられます。

15)陸の豊かさも守ろうを達成するために、

「オーラルスキャナーを使用することにより、歯科診療の過程で出るゴミ(アルジネート印象材、石膏)を減らす」

「金属製の技工物(いわゆる銀歯)ではなくCADCAM 冠を作製することにより、金属片や技工過程における有毒ガスを減らし、出来るだけ空気(環境)を汚さない」

ことにより達成できると考えられます。

 

 

 

また、当院では少し前より、社会貢献活動の一環として

以下の各種団体に少額ではありますが、寄付を行なっております。

⚫︎国連anchor

https://www.japanforunhcr.org

 

⚫︎world vision

https://www.worldvision.jp

⚫︎UNICEF

https://www.unicef.or.jp/

 

⚫︎PLAN international


https://www.plan-international.jp/about/policy/sdgs/

 

⚫︎あしなが育英基金

https://www.ashinaga.org/

⚫︎広島大学歯学部基金/広島大学修学支援事業基金

これらの団体に寄付することで

❶貧困を無くそう、❷飢餓をゼロに、❹質の高い教育をみんなに

❺ジェンダー平等を実現しよう、等の目標達成に僅かながらでも貢献できるかと思います。

 

やや話が大きくなりましたが、社会のどんな規模の企業(医院)においてでも、こういった理念を考え続けることが非常に大切だと思います。

 

『自分たちの行なっている活動(歯科診療)がなんらかの形でSDGsの達成に貢献出来るよう、小さな一歩から始める』

『今後の医院の活動方針、行動指針を決定する際に、常にSDGsを念頭に置き事業計画を策定していく』

上記二つを目標とすることを誓い、4周年のご挨拶に替えたいと思います。

 

 

 

(補足)

⚫︎当院におけるIT化、デジタルトランスフォーメーションに関して(❾産業と技術革新の基盤を作ろう、に該当)

写真は、当院の技工物を担当していただいている、

神戸市兵庫区の『入れ歯やさん』http://irebayasan.co.jp/

内における、デジタル技工に関する研修会(8月26日実施)の様子です。

当院においてオーラルスキャナーにより取得された患者様の口腔内データは、インターネットを介して即時に技工所へ送信されます。口腔内のデータは技工士とクラウドシステム(Medit link)を介して共有され、各種の補綴物(詰め物、被せ物)の設計に反映されていきます。

今歯科医療のみならず、あらゆる業態において、デジタルトランスフォーメーション、IT化が進んでいます。

当院においては本年6月より口腔内スキャナーを導入しました。(今後も3Dプリンタなどを導入していく予定です)

歯科医療のdigital transformationにより、より早く、正確で品質の高いものをご提供出来るよう努力して参りますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。