去る7月7日、8日に
大阪市で開業しておられる、大森有樹先生の主催する研究会
ADPR(Academy of Dental Practice and Reserch) の研修会に参加してまいりました。
「インプラントにおける軟組織のマネージメントコース」
と題した講義および実習でした。
内容としては、
インプラントを埋入した後の、歯ぐきを健康に保ちかつお手入れがしやすい
状態にするための外科処置(歯周外科処置、インプラント2次オペ)
に関するものでした。
具体的には(専門用語になりますが)
●歯肉弁根尖側移動術
●遊離歯肉移植術
●軟組織増大術
●エンベロープ法(パウチ法)
●Uシェイプ法(ロールテクニック)
●インターポジショナルグラフト
上記の術式に関する講義があり、その後に豚の骨を用いて実習をし、指導を受ける、いったものでした。
「歯を失った部分は、かつて歯が存在した時と同じ状態ではない」ことが多いと言えます。
骨が痩せている、歯ぐき(角化歯肉)の幅が狭い、という状態です。
この状態のままインプラントを行なったとしても、骨や歯ぐきの状態が不十分であり、インプラントの周りの歯ぐきが炎症を起こし、最悪の場合 歯槽骨の吸収、インプラント体の脱落を引き起こす可能性があります。(インプラント周囲粘膜炎、インプラント周囲炎)
このインプラント周囲粘膜炎、インプラント周囲炎の予防の為には
①インプラントの周りの骨の高さ、幅を増やす →骨造成術
②健康な歯ぐきをインプラントの周りに増やす→歯周外科処置(インプラント2次オペ)
ことが必須と言えます。
今回の講義実習は②に関するものでありましたが、
インプラント治療を成功させる為に必要な考え、技術を学ぶことができたと考えております。
インターネットなどの情報の氾濫により、
『インプラントは一生もつ』『すぐ出来る、すぐ噛める』
といった偏った情報が国民の皆様に誤って伝わっているように感じます。
当院ではインプラント治療を行っておりますが、術前の診査診断はもとより、術後の安定、永続性を第一と考えております。
そのためにはCTを用いたシュミレーションを行い(多数本埋入の時はサージカルガイドを用います)、
①骨造成術、②歯周外科処置(2次オペ)を行なった上で、十分に期間をかけて、
被せ物(インプラント上部の構造)の装着行うべきだと考えます。
●インプラントを入れた後も骨と歯ぐきを健康に保つ
●咀嚼機能の回復により全身の健康に寄与する
上記2つを念頭に置き、インプラント治療に臨み、地域の皆様の健康に貢献できればと思います。