当院では開業以来、一般歯科の他に歯科口腔外科を診療科目として標榜しております。
今まで、
埋伏智歯の抜歯(比較的浅い位置にあり、下顎動脈、神経から離れているもの)
歯根嚢胞の摘出(範囲の限られた小規模のもの)
歯根端切除
意図的再植
自家歯牙移植
歯周外科手術
角化歯肉、結合組織の移植
歯周組織再生療法(保険適用;歯周組織再生剤 リグロス®️を用いて)
静脈内鎮静麻酔下による、外科手術(インプラント外科)
などは自院で全て行なってまいりました。
ただ、当院に来られる患者様の中で、
一般歯科の範疇では治療の難しいと判断される方に関しては、
歯科口腔外科(高次医療機関)へ速やかにご紹介し、専門医の先生と連携して、治療にあたっております。
今まで、以下のようなケース(疾患)を歯科口腔外科へ紹介してきました。
①お口の中に出来ものができた
→良性腫瘍(線維種)、悪性腫瘍(歯肉癌)の疑い
②口が開きづらい、開ける時に音が鳴る
→顎関節症
③歯茎がずっと腫れている、膿が出る
→抜歯後の治癒不全、顎骨内の炎症(薬剤性顎骨壊死)
④親知らずの周りが腫れている
→顎骨内の深い位置に埋伏した智歯周囲の炎症
⑤レントゲン撮影の結果、顎骨内に透過像を認める
→含歯性嚢胞
⑥食事の時に耳の辺りが痛くなる
→耳下腺の唾石症
⑦根管治療がいつまでも治らない、継続的に膿が出続ける
→上顎洞内の嚢胞
⑧金属でかぶれる、以前通っていた歯医者で金属アレルギーではないかと言われた
→歯科金属アレルギー(歯科金属に対するパッチテスト)
⑨重篤な糖尿病、高血圧、出血傾向のある方、歯科治療によりショック症状を過去に起こした経験がある方
→歯科治療に対する高リスク患者、歯科治療恐怖症
⑩上顎骨にインプラント治療を希望される方で、骨が薄く現状ではインプラント治療の難しいと判断される方(かつ同部に動脈が走行している状態)
→骨造成(サイナスリフト)
【紹介先医療機関】
❶兵庫県立尼崎総合医療センター 歯科口腔外科
https://agmc.hyogo.jp/department/surgery/oral
❷兵庫医科大学病院 歯科口腔外科
https://www.hosp.hyo-med.ac.jp/service/department/doms/
❸西宮市立中央病院 歯科口腔外科
https://www.hospital-nishinomiya.jp/department/snr/skg/index.html
❹大阪府堺市 泉北陣内病院 歯科口腔外科
https://koushinkaihp.jp/department/list.php#dentistry
上記①〜⑩が当院で紹介させて頂いたケースですが、他にも一般歯科の範疇を越える場合は高次医療機関への受診を推奨しております。
(特に⑧金属アレルギーに関しては、
❸西宮市立病院の歯科口腔外科へ紹介し、皮膚科の先生による歯科金属パッチテストを実施。その結果、歯科金属アレルギー陽性の方には、非金属の材料を選択して治療を行なっております。)
虫歯や歯周病以外のお口の周り全般に関してお困り事、質問などありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
以下は、令和5年7月20日に、
兵庫県立尼崎総合医療センター歯科口腔外科
https://agmc.hyogo.jp/department/surgery/oral/conference
の臨床検討会(半年に一度開催)に参加した時の様子です。
口腔外科の専門医の先生が、ご自身が治療されたケースに関して発表され、それに対して(総合医療センターと連携している)開業医の先生方が質問し、discussionする形で検討会がすすんでいきます。
テーマとしては、
⚫︎下顎骨エナメル上皮腫摘出後の神経修復術
⚫︎Fanconi 貧血患者に発生した舌癌に関して
⚫︎下顎骨 関節突起の骨折の治療法
⚫︎上顎歯肉に発生した形質細胞白血病
⚫︎骨再生治療(それに使用する各種骨補填材)
⚫︎顎関節のエコーシステム(顎関節疾患の診断と治療の可能性)
⚫︎病診連携の現状、課題について(特に周術期口腔機能管理)
などでした。
普段は遭遇しないような疾患に関して知ることができ、大変勉強になりましたし、口腔外科分野の知識、最新の治療法を知識としてインプット出来ました。
特に私が注目したトピックスとしては、神経の再生治療でした。
下記の生体材料(リナーブ®️)が、2017年より販売され、臨床応用されているとのことでした。
コラーゲン使用吸収性神経再生誘導材
https://med.nipro.co.jp/med_eq_category_detail?id=a1U5F000021Y8PPUA0
外傷や、下顎骨の癌の摘出、親知らずの抜歯などの外科処置時に、不運にも下顎神経を損傷してしまった場合、
従来であれば麻痺が残り、症状の緩解を図るのみでしたが、ご自身の神経と生体材料を縫合することで、神経組織が再生する治療が行われている、とのことでした。(あらゆるケースが可能とは限りません。詳細は歯科口腔外科の先生の判断によります。)
今後もこれらの知識をもとに、日々来られる患者様のあらゆる疾患に対して対処できるよう、日々研鑽、努力してまいります。