7月17日(木)は、兵庫県立尼崎総合医療センター歯科口腔外科
第17回臨床検討会に参加してきました。

当院は同病院の協力歯科医院として提携させて頂いており、これまでに、
埋伏智歯の抜歯
上顎洞内の嚢胞
急性炎症時の抗生剤投与による消炎
交通事故後の顎関節障害(開口障害)
含歯性嚢胞(顎の中に出来た嚢胞)
など、一般歯科では対応できない患者様を今まで紹介させて頂いておりました。
尼崎総合医療センター歯科口腔外科では、こういった患者様を紹介した歯科医院を招待し、半年に一度症例検討会という名目で研究会を開催しておられました。
その発表の内容は、一般的な歯科医院では普段は遭遇することのない特殊な疾患ばかりであり、歯科医師としての研鑽に大いに役立つものばかりでした
今回の臨床検討会の題目は以下の通りです。
①生下時より舌に突起を形成した奇形腫の一例
②突破性下顎頭吸収患者に顎関節人工関節置換術を施行した一例
③顎関節と鑑別すべき疾患
④1歳8ヶ月の下顎骨骨折の患児に床副子を用いて整復固定を行った一例
先天性疾患や顎関節症に類似した疾患、奇形腫など、詳細な内容はここでは割愛しますが
歯科医師が知識として知っておくべき深い内容ばかりで非常に勉強になりました。
その中でも今回は、②顎関節人工関節置換術に関して述べたいと思います。
顎関節人工関節置換術は、外傷などの何らかの原因で顎の関節が障害を受け、機能しなくなった方に対して行う再建手術ですが、
2019 年より全置換型の顎関節人工関節が薬事承認され、顎関節人工関節全置換術が施行できることとなった、とのことです。
(兵庫県で実施しているのは尼崎総合医療センター歯科口腔外科のみ)
https://agmc.hyogo.jp/department/surgery/oral/


対象となる疾患、状態は以下の通りです。
下記の疾患あるいは病態により下顎頭欠損を伴う症例 ・顎関節強直症(関節突起の切除が必要な場合)
・病態の進行した変形性顎関節症 ・重篤な顎関節炎あるいはその既往(リウマチ性顎関節炎、化膿性、乾癬性顎関節炎な
ど)
・高度の進行性(特発性)下顎頭吸収
・先天性疾患
・外傷後の下顎頭欠損
・腫瘍切除を含む手術後の下顎頭欠損
・度重なる無効な手術歴
・人工関節(材料)による再建手術後の経過不良例
・肋軟骨移植後の経過不良例
適応となる症例の基準
上記疾患・病態でかつ下記の主要基準のいずれかを満たすこと
・咬合異常があり、日常の摂食、咀嚼が困難な症例(例;五分粥軟菜食でも食事困難) ・35 mm未満の開口障害
少し専門的な内容となりましたが、
通院しておられる患者様、もしくはそのご家族、お知り合いの方の中で、
『顎が開かない、過去に交通事故で顔面を強く打って顎の調子が悪い』
などの症状がありましたら、どうぞお気軽にご相談下さい。
尼崎総合医療センターをはじめとした、高度医療機関に紹介した後に治療を受けて頂き、少しでも顎関節症の改善、QOL(生活の質)の向上に寄与できればと考えております。